抄録
Synaptic junction の選択的染色法であるE-PTA染色法により, 各種固定液による中枢神経系標本での定性的検索を実施した. 固定液は, 10%ホルマリン水溶液とBouin液を用い, 対照として電子顕微鏡的な固定液であるグルタールアルデヒドとパラホルムアルデヒドの混液を用いた. 実験の結果, 検索したすべての標本でsynaptic junction の形態保存は若干の差異は有るものの基本的構造は継持されていた. このことは, 人体標本からシナプス発達の情報を得られる可能性を示唆しており, 今後人体標本解析に当たりE-PTA染色法を用いる価値が有るものと思われる.