脳と発達
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臨床症状に大きな差のあるムコリピドーシスIII型の2家系
ムコリピドーシスII・III型分類の再評価
西本 潤史塚本 浩子乾 幸治岡田 伸太郎藪内 百治玉井 浩美濃 真賀佐 伸省館 睦子山野 恒一
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1989 年 21 巻 1 号 p. 49-55

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抄録

ムコリピドーシスIII型 (ML-III) の2家系3症例を経験した. 症例1は15歳の男児で, 生後3カ月から進行する高度の脊柱側彎および後轡, 全身の関節拘縮, 発育発達障害, 心雑音, 肝腫大, 鼠径ヘルニアと多彩な症状を示した. 一方, 症例2は13歳の男児で, 軽度の関節拘縮と弱視が主な症状で, その姉 (症例3, 15歳) はほとんど無症状であった. 症例1はムコリピドーシスII型 (ML-II) とML-IIIの中間的症例と考えられ, 症例2・3は生化学的にML-IIIに合致するものの臨床的には極めて軽症の例と考えられた. これらの症例の存在から, ML-II・IIIを単一疾患としてI-cell病の乳幼児型・若年型ととらえることを提唱したい.

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© 日本小児小児神経学会
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