抄録
嘔吐, 傾眠のエピソードを繰り返したオルニチントランスカルバミラーゼ部分欠損症の女児例を脳波所見を中心に報告した. 症例は2歳4カ月の女児で, 2歳2カ月より7~10日毎に嘔吐を繰り返し, 次第に嘔吐が増加するとともに傾眠を伴うようになった. 血中アンモニア値はエピソード中646μg/dlまで増加したが, トランスアミナーゼ値はエピソード終了後アンモニア値の減少と交代してGOT1,028IU/4GPT1,032IU/Zまで増加するのが注目された. 脳波はエピソードとともに両側後頭部優位の2~2.5c/ssinusoidal HVS burstが出現するのが特徴的で, エピソードの終了, 高アンモニア血症の改善よりも遅れて消失した.
オルニチントランスカルバミラーゼ部分欠損症女児例の臨床脳波の検討は乏しいため, 本症における脳波の意義を強調した。