1989 年 21 巻 4 号 p. 385-389
幼若乳児のビタミンK欠乏による頭蓋内出血は多発性出血を特徴とし, 予後が不良であることが多い.最近, 著者らは生後43日目の男児でビタミンK欠乏による頭蓋内出血をCTとMRI画像により比較検討できた1症例を経験したので報告した.MRI検査では, CTではっきりとしなかった出血の存在を確認することができ, 特に後頭蓋窩硬膜下血腫の鮮明な画像が得られた.また従来, CTで広範な脳浮腫と考えられていた部分にもMRIでは出血が認められ, ビタミンK欠乏による頭蓋内血腫は多発性で漏出性の点状出血に起因すると推測された.
MRIはビタミンK欠乏による頭蓋内出血の存在部位と拡がりを正確に示し, 治療方針を決定する上で極めて有用と考えられた.