抄録
熱性けいれん36例およびてんかん69例において発作後早期に髄液および血清のneuron-specific enolase (NSE) 活性を測定した.多くの症例でNSE活性は正常範囲内にとどまった.正常上限をこえたものはわずかに認められたが, このNSE活性の上昇は, 以前に経験した脳炎・脳症などの場合と比較して明らかに低値であった.また, この上昇の度合いとけいれん持続時間および発作型との間に相関は認められなかった.今回の結果から, けいれん性疾患においてNSE活性を重積発作の神経細胞に対する影響をみる指標とするのは困難であると考えられた.また脳炎・脳症などにおいてNSE活性を測定する上でのけいれん発作の2次的な影響は少ないと推測された.