抄録
向精神薬投与後に悪性症候群を呈した10歳自閉症女児例を経験した.患児は興奮, 徘徊のためフェノチアジン系やブチルフェノン系の向精神薬の投与を受け, その後, 発熱, 筋強剛, 振戦, 発汗, 流涎, 無動緘黙状態を呈し, 検査所見では血清CK値の上昇を示した.症状は約3カ月間遷延したが, 塩酸アマンタジン使用後, 急速な症状の改善を示し約1カ月でほぼ完全に回復した.
本症候群の発生機序の一つとして脳内ドーパミン伝達系の遮断が関与していると推定されている.自験例では, 治療に使用した薬剤の反応などにより, 前シナプスからのドーパミンの遊離に何らかの障害があった可能性が示唆された.