脳と発達
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良性乳児型cytochrome c oxidase欠損症の1例
組織学的, 生化学的検討
鈴木 真琴杉江 秀夫鶴井 聡宮本 礼子杉江 陽子五十嵐 良雄加久 浩文深見 重子
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1989 年 21 巻 6 号 p. 543-549

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抄録

良性乳児型cytochrome c oxidase (CCO) 欠損症の1女児例について, 症例が4カ月, 1歳7カ月の時点に筋生検を行い, 組織学的, 生化学的に比較検討を行った. 第1回生検では, 多数のragged-red fiberを認め, CCO染色ではほとんど活性を認めず, CCOの酵素活性は対象の18.5%であった. 第2回生検では, ragged-red fiberは僅かに散在するのみで, CCO染色では著明な活性の上昇を認め, 酵素活性は53.3%にまで上昇しており, 組織学的には, 神経原性変化を認めた. 免疫組織学的には, 両者は同様なCCOのsubunit IVに対する抗原性を有していた. これらより本症の酵素活性の可逆性に, CCOの抗原性および神経原性因子の関与が示唆された.

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© 日本小児小児神経学会
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