抄録
高音圧クリック刺激による聴性脳幹反応 (ABR) が無反応を示した小児147例 (検査症例約1,600名中9.2%) につき臨床的検討を行った. その結果, クリック刺激の周波数, 音圧における感音難聴sensorineural hearingloss (sHL) が認められたA群は121名, このうち伝音難聴を合併した者10名, A群と同条件下でHLはないと考えられるB群19名, 意識障害や最重度脳障害, 早期新生児死亡などのため, 聴覚に対する反応が確認できずsHLの有無について判定できなかったC群は8名であった. B群の15名は重度脳障害, 変性疾患など基礎疾患があり, その後音に対する反応が低下した者が7例および一過性無反応が4例あった. C群全員に精神遅滞があった. ABR無反応の時, 原則として難聴を考えるが新生児や, 重度脳障害, 変性疾患等基礎疾患がある時は聴覚と別の観点でABRを評価する必要のあることが多かった. 末梢要素の改善以外にABRの改善があるのは小児に特徴的と考えられた.