1990 年 22 巻 1 号 p. 86-87
バルプロ酸 (VPA) 投与後に, 酵素法の自動分析による血中クレアチニン (Cre) が高値を示した4歳男児を報告した. 児のCreはJaffe法による測定では正常であった. 酵素法の欠点として検体に大量のプロリンが含まれている場合には, 前処理で排除しきれなくなり, 残ったプロリンが構造式の似ているCreとして測定されてしまい, Cre値が高値になってしまうことが知られている. 本症例のアミノ酸分析でも, 血中プロリンの上昇が確認された. したがって本症例でも, VPA投与による血中プロリンの上昇のために, 酵素法の血中Cre値が高値を示したものと考えられた.