小児てんかんの知能荒廃過程を解明するため, 経時的に知能検査をし得た37例を対象として, 神経心理学的検討を行い, 脳波検査, CT検査と併せて検討した. てんかん児を, 知能荒廃を来したてんかん児24例 (1群) と知能荒廃を来さなかった13例 (II群) に分類して比較検討した.
知能荒廃群では, II群に比して, 有意に能力障害を高率に認め, それは連合能力障害だけに留まらず, 聴覚構成, 視覚認知, 視覚自動運動などの下位レベルの能力においても認められた.知能荒廃群では, II群に比して最終追跡時にてんかん発作, 脳波上のてんかん波を有するものが有意に多く, 神経心理学的検査時に内服していた抗てんかん剤もII群に比して有意に多剤であった. また, 発作が抑制された後でも知能荒廃が進む症例が多く, 注目された.