棘波や鋭波が0.2-2.0秒の間隔で, 反復律動性に, ある特定の限局された脳部位に出現することがある.このような反復律動性棘波群 (repetitive rhythmic spikes: RRSs) の神経生理学的特徴や発生原因等については不明な部分も少なくない.
また, そのような棘波群の棘波の形態や, 棘波間隔等についても多様なものが含まれており, それらを一度整理して考察してみる必要があると思われる.私達は小児てんかん群において何例かの反復律動性棘波群を経験したので, それらの神経生理学的特徴を検討してみた.
症例は3歳より15歳までの11例である.各症例の棘波数を調べ, また覚醒時, 過呼吸賦活時, 閃光刺激賦活時, 入眠初期における棘波群の出現の有無を検討し, また, 棘波と棘波の間隔については2次元ジョイントドットを作製した.
その結果, ジョイント・ドットが0.2-0.8秒の短い間隔に局在して観察された第1群と, 0.2-2.0秒間に散在して出現した第2群に分類された.第1群の反復律動性棘波群の棘波の周期は平均54.2msec, 高振幅棘波と低振幅棘波の振幅差は平均103μVであり, また, 棘波数は1分間に平均18.7個出現した.第2群の棘波の周期は平均62.4msec, 振幅差の平均は88μV, 棘波数は1分間平均25.7個であった.その相違については, 考察において棘波の起源部位の深浅による可能性を推論した.
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