脳と発達
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川崎病に伴う髄膜脳炎の臨床的検討
高木 一江梅沢 哲郎佐地 勉諸岡 啓一松尾 準雄
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キーワード: 川崎病, 意識障害, 髄膜脳炎
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1990 年 22 巻 5 号 p. 429-435

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抄録

川崎病の経過中に髄膜脳炎を合併した5症例を経験した.発症年齢は5例中4例が1歳未満であった. 意識障害は急性期早期にみられ2-11日間持続した.2例に合併した痙攣はいずれも重積状態であった. 脳波異常は2/4例に, CTscanは前頭葉領域のextracerebral spaceの拡大を4/4例に, 髄液は単核球優位の細胞数増多を4/5例に認めた.4/5例では神経学的後遺症はなかった.髄膜脳炎合併例は非合併例に比し, 発症月齢が低く, 血液Hb値・Ht値・血清総蛋白・血清Albuminが低値で, CRP陰性化までの日数が長く, 赤沈値亢進は比較的軽度で, 麻痺性イレウス・冠動脈病変の合併が多かった.以上より, 炎症所見がより高度で遷延した症例, すなわち川崎病の臨床像がより重症な症例に髄膜脳炎が出現していると考えられた.臨床症状の出現は病理学的には, 微細血管および小動静脈の炎症性変化もしくは浮腫に伴う病変に起因するものであろうと推察された.

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© 日本小児小児神経学会
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