抄録
新生児59例に対し超音波ドプラ法を用いて, 生後1カ月における前大脳動脈 (ACA), 内大脳静脈 (ICV) の血流速を測定した.出生児体重により成熟児群, 未熟児群, 極小未熟児群の3群にわけ, 新生児期の変化について検討し以下の結果を得た.1) ACA血流速は, いずれの群でも日齢とともに増加する傾向を認めた.2) ICV血流速もACA血流速と同様に, いずれの群でも日齢とともに増加する傾向を認めた.3) 各日齢で3群を比較すると, ACA血流速およびICV血流速はともに出生体重が大きい方が速い傾向を認めた.4) ACA血流速とICV血流速の間には正の相関を認めた.5) 新生児, 未熟児の脳血流の把握には, 動脈のみならず静脈血流速も検討する必要があると考えられた.