脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
重度重複障害児 (者) における甲状腺機能について
木村 正彦加藤 雅子吉野 邦夫
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 23 巻 1 号 p. 50-56

詳細
抄録
5名の重度重複障害児について甲状腺機能検査を行った.TSH, T4, T3のいずれかの異常を認めたものが54例 (53%) あった.原発性甲状腺機能低下症が2例, Septo-optic-dysplasiaによる潜在性の視床下部-下垂体性甲状腺機能低下症が2例あった.他のほとんどは抗痙攣剤服用によると考えられ, 血清T、値は抗痙攣剤の数に相関した.4例にL-thyroxineを投与したが臨床的改善を示さず, 全例血清TSH値の低下とTRH試験の低反応を示した.血清T3値のみ低値の10例は抗痙攣剤の投与とは関係せず, そのうち2例は栄養状態, 全身状態が悪い, low T3症候群であった.重度重複障害児では多様な原因の異なる甲状腺機能状態がみられた.
著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top