脳と発達
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周期性同期性放電を呈した小児多発性硬化症の1例
津田 光徳宮崎 眞佐男田中 裕葛原 茂樹
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1991 年 23 巻 6 号 p. 612-616

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抄録
脳波上, 周期性同期性放電を呈した10歳発症の多発性硬化症の1例を報告する. 症例は12歳女性, 10歳時に両上肢の痙攣, 12歳時に左手の筋力低下, 下肢脱力, 学業成績の低下が出現. 神経学的には軽度知能低下, 顔面筋と四肢筋の軽度筋力低下, 深部反射の両側対称性の低下が認められ, 歩行はやや失調性でつま先歩行であった. 髄液にoligoclonal bandを認め, 経時的にとったCTでは検査時の臨床症状に対応した部位にring enhanceが認められた. 同部のMRIはT, 強調像で高吸収, T1強調像で低吸収域として認められた. 脳波で亜急性硬化性全脳炎にみられるような周期性同期性放電が認められ, その発生機序には皮質下の損傷がなんらかの関与をしているものと考えた.
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© 日本小児小児神経学会
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