脳と発達
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筋型複合体I欠損症の家系分析
エルゴメーター負荷試験, 病理組織所見について
東條 恵小川 直子竹内 衛遠山 潤鳥越 克己佐藤 誠一高橋 亮一古賀 靖敏埜中 征哉
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1992 年 24 巻 1 号 p. 20-26

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抄録

複合体I欠損症を強く示唆する1家系について, 症状の多様性, 筋病理, 酵素活性, エルゴメーター (以下エルゴ) 負荷, 遺伝形式を検討した.本家系は筋型家系で, 母子例が3組あり, 3人の母は姉妹で, 母性遺伝が示唆された.児は確定診断した筋力低下を示す8歳女児, 5歳男児の2例と, 酵素分析, 酸素消費の検討で正常だが, ragged-red fiberがあり, エルゴ負荷でも乳酸 (L), ピルビン酸 (P) の高値, 易疲労性を示す15歳男児であった.母の1人は易疲労性, 高L, P血症を示す発症例で, 他の2人の母は無症状だが, エルゴ負荷でL, Pの異常高値を示した.そのうち1人の母はL/P比は正常であった.ミトコンドリア異常の検索にエルゴ負荷が有用だが, 確定診断には筋病理, 酵素活性, 酸素消費の総合的検討が必要であった.

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© 日本小児小児神経学会
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