脳と発達
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ヒト小脳顆粒層の発達
形態計測学的検討
山口 勝之後藤 昇奈良 隆寛
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1992 年 24 巻 4 号 p. 327-334

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抄録

ヒト胎児脳 (在胎12-40週) の連続切片標本を用いて小脳顆粒層 (外および内穎粒層) の胎生期発達について検討した. 光顕的観察とともに層幅を系統発生的な部位別に計測し, 以下の結論を得た. (1) 外顆粒層幅は週齢による変化が少なく, 部位差もほとんどみられない.ただし, 片葉では他部位とは異なり本層は厚く, 漸減傾向を示す. (2) 内穎粒層は, 在胎12週以後少なくとも3段階の発達過程 (未分化期, 中間期, 発達期) を示す.最終段階としての発達期への移行時期は30-35週であるが, 虫部と片葉では早く, 半球では遅い. また, 前葉では後葉より先行する. (3) 皮質下の髄質に広く分布する未熟な小型神経細胞は内顆粒層の形成に関与すると考えられる.

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© 日本小児小児神経学会
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