抄録
後頭葉の脳活動と血流の経時的な変化の関係を検討するため, 経頭蓋骨超音波Doppler法 (TCD法) を用い鳥距溝動脈血流速度を測定した.15歳以上の群において開眼では閉眼時に比し28.8±10.9%(平均値±標準偏差) の血流速度の増加を認め, 読書では開眼時よりもさらに13.3±6.2%の増加を認めた.片側視野刺激では, 刺激反対側の血流速度の有意な増加を認めた.さらに開眼による血流速度変化率の発達的検討では, 3~6歳群で変化率が最大 (46.2±9.8%) を示し, 12歳で成人値に達した.TCD法を用いた鳥距溝動脈血流速度の測定は, 視覚野における脳の局在性活動と脳循環の関連の詳細な検討にきわめて有用と考えられる.