脳と発達
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25 巻, 4 号
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  • 岡田 伸太郎
    1993 年 25 巻 4 号 p. 308
    発行日: 1993/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 正浩
    1993 年 25 巻 4 号 p. 309-314
    発行日: 1993/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    後頭葉の脳活動と血流の経時的な変化の関係を検討するため, 経頭蓋骨超音波Doppler法 (TCD法) を用い鳥距溝動脈血流速度を測定した.15歳以上の群において開眼では閉眼時に比し28.8±10.9%(平均値±標準偏差) の血流速度の増加を認め, 読書では開眼時よりもさらに13.3±6.2%の増加を認めた.片側視野刺激では, 刺激反対側の血流速度の有意な増加を認めた.さらに開眼による血流速度変化率の発達的検討では, 3~6歳群で変化率が最大 (46.2±9.8%) を示し, 12歳で成人値に達した.TCD法を用いた鳥距溝動脈血流速度の測定は, 視覚野における脳の局在性活動と脳循環の関連の詳細な検討にきわめて有用と考えられる.
  • 抗痙攣剤中止前後における変化
    本郷 和久, 小西 徹, 長沼 賢寛, 村上 美也子, 山谷 美和, 岡田 敏夫
    1993 年 25 巻 4 号 p. 315-321
    発行日: 1993/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    てんかん児48例 (carbamazepine (CBZ): 30例, valproic acid (VPA): 10例, CBZ+VPA: 8例) を対象に, 安静閉眼時脳波記録 (01導出) をパワースペクトル分析し, 抗痙攣剤中止前後の脳波基礎波活動の変化について縦断的に検討した.
    1) CBZ中止後, 徐波は減少しα2波が増加した. 中止後6カ月以降では正常児と有意差を認めなくなった. また, 年長児と比較して, 年少児では基礎波活動の回復には, より長期間を要するものと思われた. 2) VPA中止により, 併用例では徐波の減少とα2波の増加を認めたが, 単剤例では有意な変化を認めなかった.
    VPAの単剤投与では, 脳波基礎波活動に影響を及ぼさないが, CBZは単剤投与においても脳波基礎波活動の発達に影響を及ぼし, 特に年少児で, より顕著であるものと推察された.
  • 第2編: 右半球に言語優位半球を有する右利きてんかん症例の検討
    市場 尚文, 瀧川 弘敏
    1993 年 25 巻 4 号 p. 322-327
    発行日: 1993/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    小児てんかんの知能障害・退行の病態生理の解明に資する目的で, 言語優位半球が右半球に存在すると考えられる右利きてんかん症例13例を対象として, 知能との関連を検討した.
    対象はdichotic listening test (DLT) により言語右半球優位を示した右利きてんかん児13例で, 知能, 脳波, 頭部CTを検討した.9症例で知能障害を認め, うち6例では経過中に知能退行を来した.8症例が, てんかんの臨床像, 脳波検査, 頭部CT検査のいずれかにおいて左半球障害を示唆する所見を有し, 言語優位半球が右半球に存在する病態と知能障害との関連が示唆された.特に, 言語優位半球が右半球に存在することと, 左半球にてんかん焦点が存在することとの関連が示唆された.また, てんかん小児の脳損傷の発見, 知能障害の検討において, DLTが有用であることが示唆された。
  • 池谷 紀代子, 斎藤 加代子, 山内 あけみ, 近藤 恵里, 小峯 聡, 池中 晴美, 三島 真弓, 高橋 里恵子, 原田 隆代, 福山 幸 ...
    1993 年 25 巻 4 号 p. 328-334
    発行日: 1993/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    種々の神経筋疾患患者81例の骨格筋について, ジストロフィンcDNAの塩基配列に基づくポリペプチド (アミノ酸440-489, 3495-3544) に対して作製された2種のモノクローナル抗体 (2-5E2, 4-4C5) を用いたジストロフィンテストを行い, 臨床的有用性を検討した.これらの抗体は, ジストロフィンに対し優れた特異性を有していた.テストの結果, 81例中4例で臨床診断が変更され, 臨床診断が確定できなかった5例の診断を確定し得たので, 神経筋疾患の診断に極めて有用と考えた.さらに, Duchenne型 (DMD), Becker型筋ジストロフィー各1例の免疫組織染色でジストロフィン陽性線維 (revertant) の混在が, またDMD保因者1例でモザイクパターンが観察された.
  • 渡辺 雅子, 井上 有史, 船越 昭宏, 藤原 建樹, 八木 和一, 清野 昌一, 山口 俊郎
    1993 年 25 巻 4 号 p. 335-340
    発行日: 1993/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    言語および環境音の聴覚失認を主徴とするLandau- Kleffner症候群 (LKS) の一男児例の脳波学的所見および神経心理学的評価を経時的に追跡した.てんかん発作型は非定型欠神発作と二次性全般化発作であり, 終夜睡眠脳波記録における徐波睡眠時の両側・同期・非対称性棘・徐波複合の出現率は極期では96%であった.本症例の発病年齢, てんかん発作, 脳波所見, 経過は,“徐波睡眠時に持続性棘・徐波を示すてんかん (CSWS)” と類似していたが, 聴覚失認に由来する言語障害が両症候群の重要な鑑別点になるものとみなされた.本症例は抗てんかん薬治療によって聴覚失認が消失した.これまでの報告とあわせて, 脳波上CSWSを呈するLKSでは, その言語障害が回復しやすい可能性があると考えられた.
  • 片山 弘, 宮尾 益知, 小林 繁一, 柳澤 正義, 横田 英典, 益子 敏弘, 増沢 紀男
    1993 年 25 巻 4 号 p. 341-346
    発行日: 1993/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    両側の合指多指症および両側の多趾症を合併した視床下部過誤腫の6カ月男児例を報告した.患児は生後5カ月頃より, 誘因もなく笑い発作が始まった.精神運動発達遅滞を合併したため, 頭部CTとMRI等を施行したところ, 視床下部に腫瘤陰影を認めた.生検により腫瘤は過誤腫と診断した.脳波では発作時, 全般性の高振幅徐波をみたが, 発作は各種抗痙攣剤に対し抵抗性であった.また血清LH・テストステロンは高値で, 陰茎・睾丸の肥大を認め, 思春期早発症を合併しているものと考えた.その後特に腫瘤の増大や症状の進行はなく経過観察中である.合指多指症をはじめ, 視床下部過誤腫例の合併奇形についても文献的考察を加えた.
  • 小野 次朗, 田中 順子, 小高 隆平, 永井 利三郎, 原田 貢士, 牧 一郎, 岡田 伸太郎
    1993 年 25 巻 4 号 p. 347-351
    発行日: 1993/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    先天性眼振・精神運動発達遅滞を主訴とし, 先天性中枢神経系髄鞘形成不全症が疑われた女児例を報告した.検査結果では, 聴性脳幹反応でH波以降の出現不良, 磁気共鳴画像ではT2強調画像における大脳白質の禰漫性高信号を示した.先天性の中枢神経系髄鞘形成不全を示す疾患としては, 伴性劣性遺伝を呈する古典型Pelizaeus-Merzbacher病が知られているが, 患児は女児であり, 家族歴にも遺伝素因を認めないことから, 古典型Pelizaeus-Merzbacher病とは考えにくい.本例とPelizaeus-Merzbacher病との関連性について検討した.
  • 小国 美也子, 粟屋 豊, 佐々木 日出男, 渡辺 喜代子, 小国 弘量, 矢島 邦夫, 福山 幸夫
    1993 年 25 巻 4 号 p. 352-357
    発行日: 1993/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    著しい成長障害を呈する重度脳障害児で, 食事摂取困難による栄養障害により, 低体温および体温リズムの異常をきたした一例を経験した.直腸温の連続記録を行い, チューブ栄養下に摂取カロリーの増加をはかったところ, 体重の増加, 睡眠パターンの改善および体温の上昇に加え, 体温リズムが25時間の周期でフリーラン様パターンを呈していたものが, 24時間の正常パターンに改善した.このことより, 栄養障害・低体温と生体リズム異常との密接な関係が示唆され, 更に重度脳障害児の低体温の原因の一つとして, 低栄養の存在が明らかとなった.
  • 南谷 幹之, 田中 順一, 蓮村 誠, 野崎 秀次, 前川 喜平
    1993 年 25 巻 4 号 p. 359-363
    発行日: 1993/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    慢性炎症細胞の浸潤を伴い多彩な脳奇形がみられた剖検例を経験した.症例は乳児期に点頭てんかん, その後重度精神発達遅滞を呈した17歳女児で, 体表奇形, 染色体異常はない.剖検所見では, 大脳皮質に小多脳回, 脳回肥厚がみられ, 組織学的に不完全な6層構造を呈した.側脳室周囲に異所性灰白質が散在し, これら形成異常皮質の星膠細胞の胞体に好酸性封入体がみられた.天蓋部クモ膜に慢性炎症反応があった.脳梁は後半で欠損していたが, 脳神経系・基底核・視床は良好に形成されていた.後頭蓋窩クモ膜嚢胞壁は瘢痕性小脳組織およびクモ膜からなり, 炎症細胞の浸潤を伴った.脳形成障害の多様性から障害時期の多相性が考えられ, その誘因として胎生期感染も考慮された.
  • 田中 能文, 柴田 瑠美子, 坂本 亘司
    1993 年 25 巻 4 号 p. 364-368
    発行日: 1993/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    Down症候群に9年以上に及ぶ無症候性高尿酸血症合併の結果, 腎不全に陥ったと考えられた30歳男性例を報告した.
    本症例は腎機能増悪前より高尿酸血症に気づかれていたが, 臨床症状はなく経過観察されていた.腎不全の増悪および高血圧に伴う顔面蒼白, 活気のなさにて発症し, 約7カ月の経過で尿毒症性肺炎を併発し死亡した.臨床経過および病理学的に腎髄質に異物反応を伴う多数の痛風結節を認められたことより高尿酸血症による腎障害が最も考えられた.
    今後Down症候群においては無症状であっても高尿酸血症の合併にも留意し, 腎障害への進展予防が必要であると思われる.
  • 病巣の形態と脳内分布との関連について
    山口 勝之, 後藤 昇
    1993 年 25 巻 4 号 p. 369-373
    発行日: 1993/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    脳カンジダ症の未熟児例について連続切片法により病巣の形態と脳内分布との関係を詳細に検討した.病巣は脳実質, 軟膜, 脳室系に広く散在性にみられた.このうち, 大脳髄質深部, 伝導路, 脳幹網様体腹側部, 上衣下未分化細胞層, 第4脳室底, 中脳中心灰白質など動脈支配の末梢 (分水嶺) にあたる血流の少ない部位では, 好中球の浸潤を主とする急性炎症型病巣を形成し, 大脳皮質, 基底核, 脳幹神経核などの灰白質や軟膜では, 星状膠細胞の集籏を主とする慢性炎症型病巣を形成する傾向が認められた.感染源としての危険因子の把握のために母体の産道, 胎盤, 膀帯についてCandida感染の有無を積極的に検査することが必要と考えられた.
  • 筋病理について
    米山 均, 河野 義恭, 埜中 征哉
    1993 年 25 巻 4 号 p. 374-378
    発行日: 1993/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    強直性脊椎症候群の10歳男児例について報告した.筋病理所見は, 傍脊柱筋を中心に, 筋線維の大小不同, 壊死・再生像および結合織の増加があり, 進行性筋ジストロフィー様の変化であった.これは, 強直性脊椎症候群の中に, 筋ジストロフィーに近い病因をもつ1群があることを示すものである.
  • 藤井 秀比古, 近藤 富雄, 安田 寛二, 平泉 泰久, 山崎 松孝, 結城 伸泰
    1993 年 25 巻 4 号 p. 379-384
    発行日: 1993/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    急性軸索型と考えられるGuillain-Barre症候群の1小児例を報告した.入院時の運動神経伝導速度は正常でM波振幅の著明な低下を認め経過も遷延したことから, 軸索変性を主体とする変化が考えられた.発症16カ月現在, 下肢の軽度の筋力低下を残した.
    薄層クロマトグラムによる免疫染色にて, 患者血清中にGD1bを認識するIgG抗体を認めたが, 抗GM1抗体は検出されなかった.IgG抗GD1b抗体価は, 臨床症状の改善とともに低下した.抗GM1抗体だけでなく, 抗GD1b抗体も, 急性軸索型Guillain-Barre症候群の発症機序ないし病像の修飾に関して, 何らかの病的役割を果たしている可能性が考えられた.
  • 稲垣 真澄, 橋本 和広, 高橋 弘幸, 竹下 研三
    1993 年 25 巻 4 号 p. 385-387
    発行日: 1993/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    臍帯血9例および早期産児18例の血中エンドセリン値をEIAサンドイッチ法で測定し, 正常域を設定し, 超音波断層所見との関連を検討した.
    胎児仮死群5例は臍帯動静脈血エンドセリンが非仮死例 (平均3.1pg/ml) に比し有意に上昇し (各々18.8, 14.7pg/ml), 呼吸性アシドーシスを伴っていた.早期産仮死児10例も有意に高かった.生後1週間10pg/ml以上の高値を持続した未熟児4例は呼吸窮迫症候群と低血圧を呈し, うち3例が脳室周囲高エコーを生後2週以上認めた.エンドセリンは分娩直前から生後早期の呼吸循環障害を反映し, 経時的変化をみることで児へのストレス状況の把握が可能と思われる.
  • 伊勢 桂子, 楢崎 修, 花井 敏男, 權藤 健二郎
    1993 年 25 巻 4 号 p. 387-389
    発行日: 1993/07/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    突発性発疹症の第3病日にepilepsia partia liscontinuaにて発症した左内頸動脈閉塞症の5カ月女児例を報告した.頭部CT上左大脳半球の広範な低吸収域と萎縮像を認め, MRIにて左内頸動脈の閉塞像と発達した側副血行路を確認した.約2週間の経過でほとんど後遺症を残さず軽快した.脳梗塞の原因としてhuman herpes virus6 (HHV6) 感染も考える必要があると思われる.
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