脳と発達
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小児てんかんにおける知能荒廃に関する研究
第2編: 右半球に言語優位半球を有する右利きてんかん症例の検討
市場 尚文瀧川 弘敏
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1993 年 25 巻 4 号 p. 322-327

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抄録

小児てんかんの知能障害・退行の病態生理の解明に資する目的で, 言語優位半球が右半球に存在すると考えられる右利きてんかん症例13例を対象として, 知能との関連を検討した.
対象はdichotic listening test (DLT) により言語右半球優位を示した右利きてんかん児13例で, 知能, 脳波, 頭部CTを検討した.9症例で知能障害を認め, うち6例では経過中に知能退行を来した.8症例が, てんかんの臨床像, 脳波検査, 頭部CT検査のいずれかにおいて左半球障害を示唆する所見を有し, 言語優位半球が右半球に存在する病態と知能障害との関連が示唆された.特に, 言語優位半球が右半球に存在することと, 左半球にてんかん焦点が存在することとの関連が示唆された.また, てんかん小児の脳損傷の発見, 知能障害の検討において, DLTが有用であることが示唆された。

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© 日本小児小児神経学会
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