脳と発達
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バルプロ酸ナトリウム投与中に発症した急性膵炎の1例
桃田 哲也伊藤 誠子小林 謙三舛 信一郎国屋 輝道
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1993 年 25 巻 5 号 p. 453-458

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抄録

私たちはバルプロ酸ナトリウム (VPA) 投与中に急性膵炎を繰り返した症例を経験した.症例はてんかんのためVPA投与約4年後に急性膵炎を発症した.一度は保存的療法により短期間で合併症もなく軽快したため, その後もVPAを服用させていた.しかしその2カ月後, 再度急性膵炎を発症した.胸水貯留も認め播種性血管内凝固症候群 (DIC) も併発したが, 保存的療法で軽快した.VPAによる急性膵炎と考え, 抗けいれん剤を変更し, 現在のところ急性膵炎の発症を見ていない.VPAによる急性膵炎の報告は比較的少ないが, 電撃的な経過で死に至ることもありVPA治療中には十分注意が必要と思われる.

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© 日本小児小児神経学会
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