脳と発達
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脳性麻痺の発症要因と新生児医療
奥村 知子宮田 広善上谷 良行中村 肇
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1993 年 25 巻 6 号 p. 532-536

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抄録
姫路市総合福祉通園センターで療育中の3歳~6歳までの児 (1984年1月~1986年12月出生) のうち, 厚生省脳性麻痺研究班の定義 (1968年) に基づき脳性麻痺と診断した76例につき, 重症度別に大島分類1~4に相当するものを (重症群), 大島分類1~4を除く精神遅滞を合併したCPを (CP+MR群), MRの合併のないCPを (CP単独群) の3群に分類し, 発症要因としての周生期異常と新生児医療との関連性を調査した. 発症要因として周生期異常の占める割合は, 重症群68%, CP+MR群75%, CP単独群60%と各群ともに高率であった.早期産児の95%, 満期産児の47%がNICU (neonatal intensive care unit) に収容されていた. 満期産児は早期産児に比べ重症群, CP+MR群が多かった. NICUに収容されていた早期産児の周生期異常としては, 仮死, 人工換気療法を要する呼吸障害, 遷延性無呼吸発作, 高ビリルビン血症が多く, 満期産児では全例仮死出生児でうち43%に頭蓋内出血を伴っていた. 周生期医療が進歩し, 新生児死亡率は低下したとはいえ, 今回の調査より大半がNICUに収容された児であり, 療育施設と地域NICUとの密接な連携が障害児発生防止, 児のトータルケア, 病因究明には不可欠と考えられた.
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© 日本小児小児神経学会
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