抄録
我々はcarbohydrate-deficient glycoprotein症候群 (CDGS) の2兄弟例と, またいとこにあたる1疑診男児例を対象として神経放射線学的および神経生理学的検討を行った.
1) 症例1と2において脳波はてんかん性異常波を認めた. 2) 末梢神経伝導速度は症例1で正常下限であった. 3) 短潜時体性感覚誘発電位 (SSEP) では症例1に巨大SEPを認め, 症例3でP14の低振幅を認めた. 4) 聴性脳幹反応 (ABR) では症例1でV波の低振幅, 症例3で一側のV波の低振幅と他側の無反応を認めた. 5) 視覚誘発電位 (VEP) と磁気による運動誘発電位 (MEP) には全例に異常はみられなかった. 6) MRIでは全例小脳の低形成と種々の程度の橋の低形成を認めた. 7) SPECTは3例中1例に施行し, 症例1で小脳, 脳幹および左側前中心部の低還流域を認めた. 以上の結果よりCDGSは形態的には小脳および橋の低形成が共通した所見であるが, 機能的には種々の異常を示し, その病態生理の多様性を示唆するものと思われた.