1996 年 28 巻 3 号 p. 206-210
在宅人工換気療法は人工呼吸器を装着している児が自分の家で家族とともにすごすことを可能とした.我々は12症例で200回以上の在宅人工換気療法 (外出・外泊を含む) を経験し, 3症例はほぼ完全在宅ができている.家族へのアンケート調査でも, 在宅について多くの良い結果を得た.これらの経験を通して, 家族への指導・教育とその評価により, 家族のみのケアによる在宅人工換気療法は十分に可能であった.在宅に伴う種々の問題点 (医療, 保険, 福祉, 看護, 教育, システムなど) があるが,“児のQOL” や “児の最善の利益” という観点から解決を図る必要がある.今後の小児医療の中で在宅人工換気療法はますます重要になると考えられる.