脳と発達
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全国調査からみた神経型・肝神経型Wilson病の臨床像および肝銅含量に関する検討
清水 教一鈴木 真理子山口 之利青木 継稔松田 一郎有馬 正高
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1996 年 28 巻 5 号 p. 391-397

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抄録

1990~1991年に行ったWilson病患者全国実態調査によって集計された成績のうち, 特に神経型・肝神経型Wilson病患者のデータを中心に検討を行った. 発症年齢は, 11歳以降に多く認められたが, 6~10歳にても全症例の約20%を占めていた. 初発症状は, 構音障害が最も高率に認められ, 歩行障害, 羽ばたき振戦, Kayser-Fleischer角膜輪も高頻度にみられた. 6歳以降に構音障害や錐体外路症状を認めた場合には, 本症を疑い精査を行うことが必要であると考えられた. また, ともに生命予後は良好なものの, 療養所, 病院等にて加療中のものが高率に認められた. これは進行した神経障害の不可逆性によると思われ, 本症に対する早期診断・早期治療開始の重要性が認識された.

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© 日本小児小児神経学会
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