脳と発達
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視覚的認知障害を伴い特異的な漢字書字障害を呈した学習障害児の1例
認知神経心理学的および電気生理学的分析
宇野 彰加我 牧子稲垣 真澄金子 真人春原 則子松田 博史
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1996 年 28 巻 5 号 p. 418-423

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抄録
漢字書字に特異的な障害を示す学習障害児としては2例目の報告である. 本男児は13歳でWISC-RにてVIQ 1o1, PIQ84と全般的な知能は正常であったが漢字書字は小学校1, 2年生レベルの単語の約20%しか書けなかった. 認知心理学的には既報告例とは異なり視覚的認知機能の異常を認めた. 電気生理学的には視覚性事象関連電位の異常も伴った.本症例は漢字や図形の弁別は可能で再生が困難であったことや漢字音読が可能であったことから, 視覚的認知障害に形態想起障害が加わった可能性が高いと思われた.
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© 日本小児小児神経学会
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