脳と発達
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先天性甲状腺機能低下症の睡眠異常
動睡眠中の相動性要素に注目して
荒木 聡豊浦 多喜雄神山 潤下平 雅之岩川 善英
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1996 年 28 巻 6 号 p. 484-489

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抄録

新生児マススクリーニングで発見された先天性甲状腺機能低下症7例で治療開始前に睡眠ポリグラフを施行し, 発達早期 (胎児期を含めて) の甲状腺機能低下が脳幹部神経系におよぼす影響について検討した. 動睡眠中の筋活動について分析し, 動睡眠中のそれぞれ持続性, 相動性の筋活動抑制機構を反映すると考えられるdissociation index (DI) と,%body movement in REMs burst (%BM) を算出し, 正常対照例と比較した. DIは7例中5例で低値を示し, 持続性抑制機構の未熟性が示唆された.%BMは対照例と同等で, 相動性抑制機構は成熟していると考えられた. 発達早期の甲状腺機能低下が脳幹部神経系の機能的異常を惹起させた可能性が示唆された.

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© 日本小児小児神経学会
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