脳と発達
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椎骨動脈解離により小脳梗塞を発症した1女児例
牛田 美幸福田 邦明遠藤 彰一夫 敬憲中川 義信椎野 滋乙宗 隆中野 修身
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1998 年 30 巻 6 号 p. 535-541

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抄録

椎骨動脈解離により小脳梗塞を発症した12歳女児例を経験した.初発症状は, 回転性めまい, 嘔吐, 耳鳴り, 難聴であった.頭部MRIでは左小脳半球に梗塞像を認めた.椎骨動脈造影では左側C1C2部に狭窄を認めたが, 他に異常所見はなかった.約2週間の経過で症状はほぼ改善した.2カ月後に再度行った椎骨動脈造影では左側C1レベルで閉塞を認めた.また, MRIでは同レベルの左椎骨動脈に一致してT1強調像で高信号のfalse lumenがみられた.これらから, 椎骨動脈解離と診断し, 小脳梗塞の原因と考えた.
本邦での椎骨動脈解離の報告例は少ない.見逃されていた可能性もあり, 今後留意する必要があると思われる.

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© 日本小児小児神経学会
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