抄録
髄液のネオプテリンが高値を示し, 大量ステロイド療法で臨床症状や検査所見が改善した急性脳症の1歳男児例を報告した.急性脳症の発症機序は不明であるが, 急性脳症でも髄液のサイトカインが高値を示す報告があり, 中枢神経内で何らかの免疫反応が起こっていることが示唆されている.自験例の急性脳症例でも髄液ネオプテリンが高値を示し, 中枢神経内での免疫反応の存在が示唆され, さらに大量ステロイド療法後に臨床症状や血液検査所見が改善し, 髄液ネオプテリン値も急激に減少した.この事実は感染に伴う急性脳症の治療に脳浮腫抑制効果も含めステロイド大量療法が有効な例があることを示唆しているものと思われた.