脳と発達
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31 巻, 3 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 桃井 真里子
    1999 年 31 巻 3 号 p. 200
    発行日: 1999/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
  • 松田 博史
    1999 年 31 巻 3 号 p. 201-210
    発行日: 1999/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    脳の非侵襲的機能診断法であるSPECTは日常臨床で容易に施行できるため小児神経領域においても広く用いられている.脳血流SPECT像を評価する上において, 小児では脳の発達に応じて血流分布が変化し, さらに小脳の血流が大脳に比べ低いなど, 成人とは異なった分布を示すので正常像を十分に把握することが大切である.採血を伴わない脳血流量の定量法や, 標準脳への変換後画像の統計解析を行う手法が開発され, 新たな解析が可能になってきた.これらの新しい手法は自閉症や学習障害などの機能性疾患に有用である.さらに, SPECTによるベンゾジアゼピン系やドパミン系の神経伝達機能画像も可能になっており, 保険適用が待たれる.
  • 中田 力
    1999 年 31 巻 3 号 p. 212-216
    発行日: 1999/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    核磁気共鳴 (NMR) による脳機能解析には画像法 (MRI) を用いたものと分光法 (MRS) を用いたものがある.超高磁場装置に代表されるNMR技術革新は従来研究者の特殊技法に過ぎなかった様々な方法論を臨床の場へと展開しつつある.その代表が, BOLD contrastを利用した機能的磁気共鳴画像functional MRIと神経組織における拡散の不等方性解析を利用した軸索画像axonographyである.発達神経学を範疇に収める小児神経学において, 非侵襲性を最大の武器とするMRIの脳機能解析法はすでに不可欠の存在と言える.
  • 橋本 清
    1999 年 31 巻 3 号 p. 217-223
    発行日: 1999/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    定型欠神発作を呈する小児欠神てんかん, 若年欠神てんかんについて, 94例の自験例に, 文献例を加えて, 診断, 治療, 発作の予後, 社会的予後について述べた.小児欠神てんかんと若年欠神てんかんの鑑別は, 年齢的には10歳頃とされるが明確な区分はされていない.両者の鑑別にあたっては臨床症状を考慮する必要がある.正確な診断にはVTR-EEG同時記録による詳細な観察が必要である.治療に抵抗性の欠神発作も稀ならずみられたが, valproic acidにethosuximideを付加してほぼ抑制された.Clonazepamも難治例に有効であった.学校の成績や知能テストでは, 優秀な症例もあるが, 中等度以下の症例も少なくなかった.20歳過ぎまで追跡しえた長期予後では, 日常生活で欠神発作が残存している例はなかったが, 全身性強直間代発作が頻度は少ないが散発していた.また社会的予後は必ずしも良好ではない例がみられた.
  • 小枝 達也, 二上 哲志
    1999 年 31 巻 3 号 p. 224-225
    発行日: 1999/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    What can medicine contribute to learning disabled (LD) children? In this symposium, most distinguished speakers in Japan discuss the following issues: the incidence of LD in children with preterm birth, biochemical aspect in LD children, neurophysiological examinations for LD and speech therapy for specific reading disorders. Brain dysfunctions in LD children should be clarified to facilitate remedial interventions. It is expected that medical insurance supports LD children and their family.
  • 二上 哲志
    1999 年 31 巻 3 号 p. 226-228
    発行日: 1999/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    わが国における, LDに対する取り組みは1970年代の中頃から目立つようになってきたが, 最近になりさらに活発になってきている.この背景には心理・教育領域でLDが注目を集めるようになってきたことがあると考えられる.このような流れの中で小児神経科領域でLDを取り上げる意味について,(1) 用語および定義に関して,(2) 脳機能障害としてのLD,(3) 小児神経科領域のLDの角度から考えてみた.
  • 特に未熟児領域から
    石川 道子
    1999 年 31 巻 3 号 p. 229-236
    発行日: 1999/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    学習障害の基底病態を解明するために, 出生体重1,500g未満の低出生体重児を対象とした検討を行った.学習障害144症例の類型分類の結果から, 症状の年齢依存性が推測されたため, 低出生体重児についても, 各種神経心理学テスト (ITPA, BGT, 人物画, WISC-R) の経時的変化をまとめた.いずれの結果からも, 5~6歳における視覚-運動系の遅れ, その後の言語理解, 概念化の障害が示唆された.対象を個別で検討すると, 正常な発達をしている例も多数存在していたので, 何らかの障害を呈した場合の特徴をみるため, さらに, 個別指導を実施している低出生体重児の学習障害例, 広汎性発達障害例について, 経過を報告した.
  • 神経心理症状と局所脳血流低下部位との対応
    宇野 彰
    1999 年 31 巻 3 号 p. 237-243
    発行日: 1999/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    特異的障害を呈する学習障害児らの高次大脳機能症状と局所脳血流の低下部位との関連について検討した.学習障害児の内訳は, 特異的漢字書字障害児2例, 特異的読み書き障害児1例, 特異的言語性意味理解障害児2例である.全例頭部MRIでは異常が認められなかった.高次大脳機能症状に関しては神経心理学的検査を用い, 局所脳血流量の測定にはSPECTを用いた.その結果, 学習障害児における局所脳血流量の低下部位は, 類似した症状を呈する後天性大脳損傷成人での損傷部位と極めて近い領域であった.以上の結果から, 学習障害は局所性の大脳機能障害が背景となって出現していると思われた.
  • 松石 豊次郎, 山下 裕史朗
    1999 年 31 巻 3 号 p. 245-248
    発行日: 1999/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    学習障害 (learning disability; LD) およびその周辺の病態を明らかにするため, LD, 注意欠陥/多動性障害 (attention deficit hyperactive disorders; ADHD), 精神遅滞 (mental retardation; MR), 自閉症および対照群で1日蓄尿中の尿中3-methoxy-4-hydroxyphenylglycol (MHPG), phenylethylamine (PEA) を測定した.LD (N=6), ADHD (N=16), MR (N=4), 自閉症 (N-5), 対照群 (N-6) のMHPG値は差がなかった.LD (N-6), ADHD (N-5), 対照群 (N=3) のPEA値は91±17.3, 65±53, 6,340±264.5と3群間で有意差があり (p=0.0187), LD, ADHDで有意にPEAが低値を示した.PEAはADHD治療薬のmethylphenidate類似の物質であり, 代謝上重要と考えられた.
  • 病態解明と神経生理学的アプローチ
    宮尾 益知
    1999 年 31 巻 3 号 p. 249-256
    発行日: 1999/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    学習障害は, 何らかの中枢神経の障害を基盤に認知過程の障害を伴い, 生じた様々な学習に関係する能力の障害である.今回は, 現在までの学習障害の病態に関する研究成果を紹介するとともに, 学習障害における言語認知処理障害の解明に, 聴覚と視覚の同時刺激が可能である新しい事象関連電位用刺激システムを用い, 日本語 (漢字, ひらがな, 漢字読み) 刺激を用いて健常成人と学習障害における臨床応用を試みた.ひらがな, 漢字, 漢字・読み同時課題について, P300の発生源を同定し, 前2者課題は発生源が異なり, 同時課題では両者を併せた発生源であった.漢字, ひらがな課題にて, 読字障害と書字障害においては, コントロールと異なり, P300は左半球において低振幅であった.以上に加え診断用システムとして, 事象関連電位の時空間マップを作成し, 臨床応用の可能性について言及した.
  • 小枝 達也
    1999 年 31 巻 3 号 p. 257-262
    発行日: 1999/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    医療が学習障害に貢献できるのは, まず進行性疾患の否定であり, さらに合併する疾患の適切な治療である.とくに注意欠陥多動性障害などの行動障害との合併例については, 学習障害との混同に留意して治療する必要がある.また, 学習障害児の根本にある脳の機能障害を明らかにすることは, 疾患概念の確立の他に教育的配慮を得る上からも重要と考える.
  • 川脇 寿, 富和 清隆, 白石 一浩, 村田 良輔
    1999 年 31 巻 3 号 p. 263-267
    発行日: 1999/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    最近経験したWest症候群19例のうち, valproate sodiumが著効した3例を除く16例 (潜因性3例, 症候性13例) に対してACTH療法前にzonisamideを試み, その有効性について検討した.4例 (潜因性2例, 症候性2例) において発作の消失, 2例において50%以上の発作の減少を認めた.著効例のうち脳波異常が残存した1例が4カ月後に再発したが, 脳波が正常化した3例では1年1カ月から2年3カ月の間 (平均1年9カ月) 再発はない.有効例における平均投与量は5.8mg/kg (4~8mg/kg), 平均血中濃度は13.8μg/ml (10~21μg/ml) であった.副作用については1例において眠気を認めたが, 一過性で減量することなく軽快した.ZonisamideはWest症候群に有効な抗てんかん薬であり, ACTH療法前に試みる価値があると考えられた.
  • 田中 学, 浜野 晋一郎, 今井 祐之, 奈良 隆寛
    1999 年 31 巻 3 号 p. 269-275
    発行日: 1999/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    滑脳症I型は無脳回と厚脳回が混在する型の脳皮質形成異常である.本症の乳児例を5例経験し, 頭部CT所見に基づいた形態学的な重症度分類を用いて, てんかん発症当時の発作間欠時脳波, 発作型および臨床症状を検討した.てんかんの発症は生後2カ月から4カ月で, 広汎性無脳回の症例は全身強直発作で発症し, 厚脳回の混在する例では, 部分発作やtonic spasmsで発症した.全例とも発作はその後tonic spasmsに移行した.頭部CTにおいて脳表に占める厚脳回の比率が増すほど, 脳波では無脳回の症例に多いα波よりも高振幅δ波が優位になる傾向がみられた.その他に全例を通して多焦点性の高振幅徐波, 棘波や鋭波がみられた.これらは厚脳回の形成が不規則であることの影響と考えられ, 画像所見との相関が示唆された.
  • 杉本 純子, 神山 潤, 下平 雅之, 岩川 善英
    1999 年 31 巻 3 号 p. 276-279
    発行日: 1999/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    11カ月から19歳7カ月のA群色素性乾皮症20症例 (男女各10名) で経時的に施行した延べ108耳の聴性脳幹反応 (ABR) を検討した.4歳以前に検査できた11症例40耳では各反応波は正常に導出された.4歳以降はV波のみしか導出されなくなる症例, 無反応になる症例がみられるようになり, 10歳以降に記録した30耳は全て無反応であった.反応波がよく導出される場合は, I-V波間潜時は対照群と同様に年齢とともに短縮した.V波潜時は各反応波が導出良好の時期には対照群との差はなく, 無反応例42耳中4耳では刺激強度をあげることでV波のみ導出可能となった.以上より本症のABRに関する神経系では末梢側がより早期から障害をうけると考えた.
  • 芹澤 みゆき, 相原 正男, 武井 義親, 佐田 佳美, 中澤 眞平
    1999 年 31 巻 3 号 p. 280-281
    発行日: 1999/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    伝染性軟属腫摘除時の疼痛軽減目的で, 7%lidocaineクリームを体表の約50%に塗布した1時間後に, 強直間代性けいれんが誘発された1女児例を報告する.塗布1.5時間後の血中濃度6.9μg/ml, 8時間後の髄液中濃度1.2μg/mlであり, 経皮吸収により中枢神経系副作用をきたしたものと考えられる.脳波所見は正中線棘波 (midline spike) を認めた.Lidocaineは帯状回から辺縁系に作用してけいれんを誘発することが知られており, midline spikeを有する本症例のけいれんを惹起した可能性が示唆される.小児はけいれん惹起性が強いため, lidocaineの局所麻酔剤の使用は慎重に行うことが肝要と思われる.
  • 木村 清次, 大槻 則行, 安達 かおり, 根津 敦夫
    1999 年 31 巻 3 号 p. 282-283
    発行日: 1999/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    髄液のネオプテリンが高値を示し, 大量ステロイド療法で臨床症状や検査所見が改善した急性脳症の1歳男児例を報告した.急性脳症の発症機序は不明であるが, 急性脳症でも髄液のサイトカインが高値を示す報告があり, 中枢神経内で何らかの免疫反応が起こっていることが示唆されている.自験例の急性脳症例でも髄液ネオプテリンが高値を示し, 中枢神経内での免疫反応の存在が示唆され, さらに大量ステロイド療法後に臨床症状や血液検査所見が改善し, 髄液ネオプテリン値も急激に減少した.この事実は感染に伴う急性脳症の治療に脳浮腫抑制効果も含めステロイド大量療法が有効な例があることを示唆しているものと思われた.
  • 東北地方会 , 東海地方会
    1999 年 31 巻 3 号 p. 288-290
    発行日: 1999/05/01
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
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