学習障害は, 何らかの中枢神経の障害を基盤に認知過程の障害を伴い, 生じた様々な学習に関係する能力の障害である.今回は, 現在までの学習障害の病態に関する研究成果を紹介するとともに, 学習障害における言語認知処理障害の解明に, 聴覚と視覚の同時刺激が可能である新しい事象関連電位用刺激システムを用い, 日本語 (漢字, ひらがな, 漢字読み) 刺激を用いて健常成人と学習障害における臨床応用を試みた.ひらがな, 漢字, 漢字・読み同時課題について, P300の発生源を同定し, 前2者課題は発生源が異なり, 同時課題では両者を併せた発生源であった.漢字, ひらがな課題にて, 読字障害と書字障害においては, コントロールと異なり, P300は左半球において低振幅であった.以上に加え診断用システムとして, 事象関連電位の時空間マップを作成し, 臨床応用の可能性について言及した.
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