脳と発達
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全前脳胞症 (holoprosencephaly) の臨床症状のスペクトラムと管理点
療育施設および重症心身障害児 (者) 施設における8例の経験より
川目 裕黒澤 健司赤塚 章落合 幸勝
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2000 年 32 巻 4 号 p. 301-306

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抄録
全前脳胞症 (holoprosencephaly) の自験例8例 (年齢: 3歳1カ月~10歳2カ月) の自然歴とその日常管理点について検討した. 多くは出生後に始まる成長障害を伴い, 7例でやせ (body mass index, BMI (平均): 13.3) を認め栄養管理の困難さが推測された. 全例に重度の精神運動発達遅滞を認めるも, 中枢神経の解剖学的な重症度と相関はみられなかった.7例に痙性を認め, 染色体異常を伴う1例は筋緊張低下を認めた. 7例にけいれんを認めた. 経過中にさまざまな程度の摂食障害を認め, そのうち6例は専門的な口腔機能評価, 摂食指導を必要とした. 3例に血清Na異常を認め治療を行っていた. すべて孤発例であった.成長障害, 摂食機能障害, 栄養管理, けいれん, 痙性のコントロール, 感染症, 血清Na異常が長期管理上重要と考えられた.
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© 日本小児小児神経学会
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