2000 年 32 巻 5 号 p. 420-423
Carbamazepineによる聴覚異常の認められた2症例を報告する.症例1は良性ローランドてんかんの9歳の男子であり, 知覚音の低下を訴えたが, carbamazepine血中濃度は治療域にあった.症例2は舌咽神経痛の33歳女性であり, 知覚音の半音低下を訴えた.舌因神経痛に対するcarbamazepineの服用は間欠的であったが, 再現性が確認された.2症例に認められた聴覚異常はいずれも可逆性であり, 服薬中止により速やかに消失した.今回の自験例2例を含め音高の異常を呈した12報告例があり, 頻度の高い副作用であることが示唆された.