抄録
近年, Mycplasma pneumoniae (Mp) 脳炎における脱髄と抗ガラクトセレブロシド (GC) 抗体との関連が示唆されている.我々は抗GC抗体価の上昇を伴ったMp脳炎を経験した.症例は8歳男児, 発熱および湿性咳嗽の出現から9日目に痙攣が認められた.3時間後に痙攣は消失, 30時間後に意識清明となり, 神経学的後遺症のない良好な転帰をたどった.急性期の髄液中において抗GC抗体が高力価上昇していた.Mp脳炎急性期における髄液抗GC抗体価の上昇は, 脱髄病変の重症度および神経学的予後を必ずしも反映しないと考えられた.