脳と発達
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インフルエンザAウイルス感染による小児急性壊死性脳症の1例における脳波所見の変化
小澤 武司中嶋 義記伊藤 玲子平野 明子近藤 富雄
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2001 年 33 巻 1 号 p. 63-68

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抄録
インフルエンザウイルスA (H3N2) による小児急性壊死性脳症後にてんかんを発病した2歳, 男児例を報告した.脳波所見の変化は, 入院第2病日に全誘導で低振幅の1から2Hzの徐波を認め, 第49病日には左後頭部優位に5Hzのθ波が認められた.てんかんを発病する約7カ月前に前頭部に棘波, 鋭波の律動を認め, 約2カ月前に棘徐波が認められ, 脳症後にてんかんを発病していく過程として興味深い所見と考えられた.約10カ月後よりてんかんを発病し, 脳波では左もしくは右前頭部に棘徐波, ときに全般性の多棘波を認めるようになった.本症例の場合, 脳波の基礎波の回復がみられても意識障害は遷延したが, その理由は皮質の障害より大脳基底核, 視床, 脳幹網様体の障害がより大きいことによると考えられた.
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© 日本小児小児神経学会
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