脳と発達
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経管栄養管理下の重症心身障害児・者におけるセレン欠乏症の実態
栄養形態による差異と心電図変化
朴 成愛稲葉 雄二関 千夏原 洋治山崎 宗廣塚田 昌滋
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2002 年 34 巻 1 号 p. 37-42

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抄録

重症心身障害児・者25人における血清セレン濃度と心電図を栄養形態別に比較した.血清セレン濃度は経管栄養のみを栄養源としている群 (9例) で2.9±2.0μg/dlであり, 少量の経口摂取を併用している群 (5例) の6.0±1.3μg/dl, 経口摂取を行っている群 (11例) の9.9±0.9μg/dlに比し有意に低く, 7例でT波の陰転・平低化, ST低下, 洞不全症候群などの心電図異常を認めた.経管栄養施行時にはセレン欠乏を考慮し心電図検査を行う必要がある.心電図異常の観点から血清セレン濃度は最低でも5~6μg/dl以上に保つことが望ましい.セレン欠乏症の予防および治療としては食品の併用, 栄養剤の選択, セレンの補充が有用である.

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© 日本小児小児神経学会
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