脳と発達
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全身の神経系を温存した新しいラット脳灌流モデル
小林 徳雄
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2002 年 34 巻 1 号 p. 30-36

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抄録

脳研究のための新しいアプローチとして, ラットを用いて従来の分離型灌流脳と異なる脳灌流モデルを作製した.両側の総頸動脈起始部, 外頸動脈そして椎骨動脈を結紮した後, 両側の総頸動脈からヒトO型赤血球にて調製した灌流液を定流速で送り, 両側外頸静脈より流出させた.灌流中の脳波は灌流前と変わらず, 体性感覚誘発電位も認められた.また, pentylenetetrazolを含む血液で灌流すると, 脳波上てんかん波の出現と体血圧の上昇が観察された.これに伴って定流速灌流であるにもかかわらず, 脳内酸素化ヘモグロビンと総ヘモグロビンの増加が認められ, 神経活動の増加に伴う血管拡張を捉えることができた.このモデルは脳循環が心臓から分離されている以外は全身の系とほとんど変わらず, 脳研究において有用な実験系となり得ると考える.

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© 日本小児小児神経学会
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