抄録
急性脳症後に, 推論力を中心とした知能は保たれながら高次大脳機能障害を来した小児例を経験し, 神経心理学的検査と神経画像を用いて検討した。視覚記憶, 聴覚記憶の障害を認め, 前頭葉機能検査でも異常が示された.MRIで両側側頭葉の形態的異常, SPECTで両側側頭葉, 前頭葉の血流低下が認められた.これら放射線学的所見は本症例の症状や神経心理学的所見を支持するものであり, 病態を捉えるためにその併用が有用と考えられた.小児では, 高次大脳機能障害を来した症例に対し, 神経心理学検査と神経画像を併用して検討した報告は少ないが, 後遺症の正確な評価に基づいた治療や指導に生かすためにその併用は今後重要になると思われた.