抄録
注意欠陥/多動性障害 (AD/HD) の視覚認知機能を評価するために, AD/HD児11例, 精神遅滞 (MR) 児12例および健常児14例に対し視覚性オドボール課題による事象関連電位P300検査を行った.また, 検査中の`注意力の変動'を評価するために単一波形でのP300 (ss-P300) も検討した.ADIHD群の加算平均P300は健常群と潜時, 振幅に有意差を認めなかったが, ss-P300出現率は有意に低く, 課題施行中の振幅変動が激しいと考えられた.ss-P300の解析によりAD/HD児は選択的注意力よりもその背景にある一般的注意力に問題がある可能性が示された.