脳と発達
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前障と海馬に病変を認めた非ヘルペス性急性辺縁系脳炎の1小児例
石田 博服部 英司高浦 奈津子吉田 敏子田中 勝治大谷 早苗松岡 牧高橋 幸利山野 恒一
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2006 年 38 巻 6 号 p. 443-447

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抄録

感冒症状に続き, 頭痛, けいれん, 意識障害, 失調を呈した非ヘルペス性急性辺縁系脳炎 (NHALE) の8歳男児例を経験した. 近時記憶の障害と性格の変化がみられた. ミオクロニー発作と全般性強直間代けいれんは抗てんかん薬でコントロールされ, 他の症状も自然寛解したが, 近時記憶の障害は長期間遷延した. MRIでは, 両側の前障と右海馬の病変を認めた. 3カ月後, 前障の病変は消失したが, 海馬はFLAIR像で依然高信号を認めた. 髄液と血液中にグルタミン酸受容体に対する自己抗体が出現し, 発症に免疫機構樟害の関与が示唆された. 小児のNHALEは報告が少なく, 症例の集積が望まれる.

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© 日本小児小児神経学会
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