2006 年 38 巻 6 号 p. 449-452
乳児期早期から両側難聴を指摘されていた男児が, 1歳2カ月時に肺炎球菌による細菌性髄膜炎を発症した. 画像診断等により, 両側内耳奇形のMondini dysplasiaによる髄液漏が明らかになった. PAPM/BPとdexamethasone投与で細菌性髄膜炎は治癒し, 第30病日に内耳充填術を施行した. 現在まで術後2年1カ月経過し, 細菌性髄膜炎の再発はみられない. 内耳奇形では髄液漏の合併が高頻度で細菌性髄膜炎を反復しやすいため, 先天性難聴児では内耳奇形の有無を精査すべきである.