2007 年 39 巻 3 号 p. 181-184
TH療法はWest症候群の発作に有効だが, 知能に対する有効性のエビデンスは乏しい. 本症が多彩な病因により発症し, 知能予後が病因にも依存しているため, 治療と長期予後の関係が複雑で評価が困難となる. 病因を限定するため, 潜因性を中心に従来の知見をまとめると, 70~80%で発作が長期に抑制されていたのに対し, 知能正常は20~30%で, 知能予後において早期治療の重要性が示されている. ACTH療法で脳血流は減少するため, 脳血流と知能予後の関連を検討したところ, 発達正常例と遅滞例でACTH療法前後の脳血流変化に差が見られ, その差が潜因性内の病因, もしくは治療前の経過に依存している可能性が示唆された.