重度脳性麻痺, 重度精神遅滞, 症候性てんかんを基礎疾患にもつ3歳女児に長時間続く吃逆発作が繰り返し出現した. 気管切開・喉頭気管分離術の施行後に発症し, 合併症として呼吸停止がみられた. 薬物治療に抵抗性であったが, 微量の食用酢を点鼻することで速やかに吃逆は消失した. 機序として吃逆の反射弓の求心路と考えられている舌咽神経咽頭枝が分布する鼻咽頭背側領域への刺激の関与が推察された. 安全かつ簡便に施行できることから, 薬物療法が無効な場合には非薬物療法のひとつとして試みてもよい方法であると考えられた.