脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
グルタミン酸受容体 (GluR) 抗体が陽性であった髄膜脳炎の16歳男児例
冨岡 志保下野 昌幸加藤 絢子高野 健一塩田 直樹高橋 幸利
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 40 巻 1 号 p. 42-46

詳細
抄録

全般性けいれんの後に発熱, 頭痛, 項部硬直が持続した16歳男児.ごく軽度の意識低下, 脳波で前頭葉に連続性棘徐波および髄液細胞数上昇, IgG indexの上昇とoligoclonal IgG band陽性を認めた.頭部MRIのFLAIR像で両側半球に散在する部分的灰白質の信号亢進が疑われた.髄膜脳炎と判断し, methylprednisolone pulse療法を実施したところ, 臨床症状と脳波異常は軽快した.髄液中の抗グルタミン酸受容体 (以下GluR) は入院時ε2・δ2に対するIgG・IgM抗体がともに陽性であり, 軽快時は両抗体がともに陰性となった.抗GluR抗体が陽性になる髄膜脳炎の中に, Rasmussen脳炎とは明らかに異なる経過をとり, 治療に反応する予後良好な一群が存在する可能性が強く示唆された.

著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top