抄録
失立発作の機序は脱力, ミオクロニー, 強直とされるが, その鑑別はしばしば困難なことがある.我々は1歳7カ月時に失立発作を発症した女児例を経験した.発作間欠時脳波では間欠的にびまん性棘徐波が出現し, 発作は周期的に群発する一瞬の失立発作のみで, 発作前後の意識や行動は保たれていた.近医でミオクロニー失立発作てんかんと診断されたが, 内服薬では改善しなかった.当科へ入院後, 発作時ビデオ脳波所見やACTH療法の経過から, 最終的に患児の失立発作は, 皮質焦点の関与するてんかん性スパスムであることが明らかとなった.立位保持や歩行が可能な年齢, 特に幼児期早期では失立発作の鑑別にてんかん性スパスムを考慮する必要がある.