2008 年 40 巻 4 号 p. 324-327
先行感染としてノロウイルスが考えられた急性一側性動眼神経麻痺の4歳男児例を経験した. 複視を発症する3週間前にノロウイルスによる胃腸炎に罹患していた. 頭部造影MRI, 髄液検査で異常を認めず, 抗GQ1b抗体は陰性であった. 眼瞼下垂, 眼球運動障害が急速に進行し, ステロイドパルス治療3クール (methylpredonisolone30mg/kg×3day/クール) を施行, vitamin B6内服を併用した. 治療開始後数目で自律神経障害 (瞳孔不同, 対光反射消失) が回復し, 次いで外眼筋麻痺 (眼瞼下垂, 上下転障害, 内転障害の順) が回復し, 1カ月で治癒した. 従来の特発性動眼神経麻痺は自然治癒を期待できるとされているが, 臨床症状が重症あるいは進行性で免疫学的機序が推測される症例にはステロイドパルス療法を一考すべきと考えられた.