脳と発達
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脳損傷児術後の言語および知能に関する長期的観察
鶴岡 はつ岸田 興治植木 幸明佃 一郎大塚 顕
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1975 年 7 巻 2 号 p. 90-97

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抄録
脳外科的手術を行なつた小児5症例, すなわち, 制御しがたいてんかん発作等のために左大脳半球別除術を施行したもの1例, 脳内血腫1例, 頭部外傷3例に対し, 損傷の構造状態, 発症時の年齢, 言語治療の期間等と改善状態とを比べて検討した.
全症例に対しては3カ月から4カ年の言語治療を行なつた. (症例1) は大脳半球別除後15年目に行なつたが言語および知能の改善がみられた. (症例2) は脳挫傷でひどい脳浮腫を伴つていたが, 訓練1年3カ月後商店の雑役に従事できるようになつた. (症例3) は脳内血腫で1カ年後学業に復帰できた. (症例4, 5) は重篤な脳損傷例だが徐々に改善を示している.
小児の脳損傷からの改善は成人のそれにくらべて良好である. 従つて十分に訓練を行なうならば当初, 神経学的に或は精神機能的に重篤な徴候を示した症例でも改善をみることが出来る.
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© 日本小児小児神経学会
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