脳と発達
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小児脳スキャンの診断的価値
平塚 秀雄岡田 治大菅沼 康雄大畑 正大Matsutaira TSUYUMU稲葉 穰
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1975 年 7 巻 3 号 p. 222-227

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抄録
Tc-99m pertechnetateによる小児脳スキャンの結果を検討し, 診断率および診断的価値について述べた. 過去3年間に136例の小児に178回の脳スキャンを施行した. 脳スキャンによる合併症は全くないこと, 放射線障害も無視しうることから小児においての使用が増加しつつある. 疾患別によるスキャン陽性率は, 脳腫瘍91%, 炎症62%, 血管性障害44%, 外傷50%, 硬膜下血腫95%, 先天性奇形66%, 変性疾患0%, けいれん24%であつた. 脳スキャンの診断的価値を次のように検討した. すなわち, 頭蓋レントゲン写, 脳波, 脳血管写, 気脳写等を含むすべての臨床的情報を再検討し, 脳スキャンと比較した. その結果, 脳スキャンは後頭蓋窩を含む脳腫瘍, 脳膿瘍, 硬膜下膿瘍の如き局所性炎症, 硬膜下血腫, ある種の先天性奇形, 血管性病変には極めて診断的価値は高いが, てんかん, 変性疾患, 急性期頭部外傷には有用ではない.
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© 日本小児小児神経学会
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