1976 年 8 巻 4 号 p. 298-306
知能障害児1, 325名, 知能正常児4, 852名につきシスチン尿症の頻度を調べた結果・本症が有意の差を以って知能障害児に高い傾向が見出された.さらにこれらシスチン尿症患者に経口的リジン負荷テストを行ないリジン吸収能を調べた結果, 知能障害を伴う本症患者では腸管におけるリジン吸収能の低下を示す例が多く認められた.
これらの知見により, 本症患者ではリジンの輸送機構の障害, 特に腸管吸収不全という遺伝的障害があり, それに脳発達の旺盛な乳幼児期の栄養条件が加わって知能障害に陥る頻度が高くなるものと推測された.