1977 年 9 巻 4 号 p. 329-336
nemaline myopathyの2症例について, 臨床的ならびに組織化学的に検索した.
1) 臨床像では, 2例共生下時より存在する非進行性の筋緊張低下, 筋性顔貌, 広汎な筋萎縮, 筋原性の筋電図所見など先天性ミオパチーの所見を示した.
2) 生検筋の組織化学的検索では, modified Gomori trichrome染色にて, 2症例ともtype Iおよびtype II線維の差なく全筋線維にrod-bodyを認めた.両者共type I線維が多くtype IIが少ない, いわゆるtype I線維優位が著明で, 症例1では83%が, 症例2では95%線維がtype Iであった.また症例2ではこの優位なtype Iのみが大小不同を示し, type II fiberは正常大であった.両者に共通する臨床症状, 極めて多数の桿状構造物 (rod or nemaline body), type I線維優位の所見はnemaline myopathyに一つの先天性ミオパチーの臨床単位としての地位を与えうることを示唆している.