沖縄地理
Online ISSN : 2435-7642
Print ISSN : 0916-6084
鹿児島県十島村臥蛇島の無人島化への要因
堀本 雅章
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2025 年 25 巻 p. 31-40

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抄録
臥蛇島が集団離島により無人島化して55年を経た.本研究は,2名の元臥蛇島住民からの聞き取りと先行研究,さらに関係資料から臥蛇島が集団離島に至った要因について考察することを研究目的とする.臥蛇島が含まれる鹿児島県十島村は,屋久島と奄美大島との間に位置する村である.臥蛇島は,明治から昭和初期にかけてはカツオ漁とカツオ節製造を主産業とし,焼畑での自給的な麦・イモ作を組み合わせ,トカラ列島の中では比較的富裕な島であった.しかし,水産業の低迷,日本が高度経済成長期に入り,中学校を終えた若者を中心に人口の流出が加速し,最後は艀作業が住民だけでは困難になり,船員の協力が必要となった.その他にも経済的に厳しくなったこと,インフラ整備の遅れ,船の欠航が多いこと,教育の問題などから島を離れ,最後に残った4家族だけでは,島を維持することは不可能となり,1970年に集団離島に至った.
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© 2025 沖縄地理学会
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